・どんな職業か
テレビの衛星放送や天気予報の気象衛星、自動車のナビゲーションシステムなど、宇宙開発の技術は我々の生活に欠かせないものとなっており、宇宙開発技術者は、宇宙開発に関わる政策の企画、研究開発、衛星や打上げロケットなどの開発・製作・運用に広く関わっている。 宇宙開発は宇宙そのものを対象として研究を行う宇宙科学の分野と、宇宙を実用的に利用する実利用の分野に大きく分けられる。宇宙科学の分野では、月や惑星の研究、及びそのために必要な惑星探査機や観測ロケットなどの研究開発を実施している。 実利用の分野では、通信、放送、気象、地球観測など我々の生活に役立つように宇宙を利用できるように、通信実験やロボット実験のための人工衛星などの開発・打ち上げ・運用、宇宙環境を利用した宇宙実験の推進、地球観測衛星で取得する地球観測データの利用研究などを実施している。最近は国際協力による宇宙開発プロジェクトも増え、日本はアメリカ、ロシアなどと共同で国際宇宙ステーション計画にも参加している。
・宇宙開発技術者に就くには
宇宙開発に関わるには、①官庁で宇宙開発の政策策定を担当する、②宇宙航空研究開発機構で宇宙科学・宇宙技術の研究や実利用分野の宇宙開発を推進する、③宇宙事業を行っている企業に入社し、ロケットや人工衛星、宇宙ステーションなどの宇宙機の製造・利用に従事するなどの方法がある。 宇宙工学は、最先端技術を集めてシステムを作り上げるため、機械・電気・電子・情報技術など工学系の技術はもちろん、物理・化学・工学・ライフサイエンス・天文学など理学系分野の知識や技術が必要である。 また国際協力で進められている国際宇宙ステーション搭乗宇宙飛行士となることもある。この候補者に応募するにあたっての主な条件は、①大学で自然科学系を専攻し、自然科学系の研究開発に3年以上の実務経験を有すること、②国際的な宇宙飛行士チームの一員として円滑な意思疎通が図れるよう英語が堪能であること、③宇宙飛行士としての訓練活動、長期宇宙滞在に適応できる医学的、心理学的特性を有することである。採用後は、宇宙飛行士候補者として訓練を重ね、宇宙飛行士として認定された後、スペースシャトルや今後は国際宇宙ステーションへの搭乗ミッションへ参加していくことになる。
・労働条件の特徴
職場は、国内では、種子島や筑波の宇宙センターが有名であるが、アメリカ等、全世界にわたる。
宇宙開発に関わるエンジニアや研究者も広範囲にわたり、労働条件は所属する機関によって異なるが、他の一般の技術者とそれほどの差はない。
朝から夕方までの勤務形態だが、ロケットの打上げ、衛星の運用等、通常の勤務形態では対応できない場合には交代制となる。
最近は女性の参入も増加している。
宇宙開発の分野は、今後もますます発展していくものとみられており、一定の水準の労働需要が見込まれている。
・参考情報
関連団体 独立行政法人宇宙航空研究開発機構 http://www.jaxa.jp/index_j.html