・どんな職業か
病院において、診療費用を請求するための書類(レセプト)の作成を行ったり、窓口において、外来の受付、診察料の請求、入退院の手続きなどを行う。 診察が終わった患者のカルテを見て、診察の内容、検査の種類、薬の量などをコンピュータに入力して点数化し、患者が自己負担する金額を計算する。保健診療がほぼ全てであり、保健診療では疾病名に対応した治療、投薬や療養の基準に基づいてレセプト(診療報酬請求明細書)を作成する必要があり、また、そのチェックが必要となる。多くの病院において保険請求事務はコンピュータで処理されるため、見落としや誤りがないかどうか、打ち出されたレセプトのチェックを慎重に行う。レセプトは、毎月の決められた期日までに国民健康保険であれば国民健康保険団体連合会に、社会保険であれば社会保険診療報酬支払基金に提出する。 また、窓口において外来患者の受け付けを行ったり、新規患者のカルテを作成したり、診察料の計算と会計をしたり、カルテの整理と保管をしたり、入退院の手続きをしたりすることもある。
・医療事務員に就くには
学卒後すぐに入職することは少なく、専門学校や通信教育などで薬価点数や診療報酬点数の換算方法、請求書の作成の仕方、カルテの見方などを勉強してから、入職する場合が多い。特別な国家資格認定は必要とされない。民間で認定されている医療事務の資格を持っていれば有利であるが、入職の必須条件ではない。 診察料と投薬料の点数など簡単な計算から始めて経験を積み、レントゲンや注射、検査、手術、入院料など複雑な点数計算をするようになる。 書類に転記し点数を計算する反復作業のため、根気のいる仕事である。見落としや間違いがないように注意深さが求められる。医師の指導を受けながら経験を積み重ね、多くのカルテをこなして慣れることが必要である。
・労働条件の特徴
診療では必ず必要な業務のため、全国的に需要があり、病院、診療所、調剤薬局などで働いている。
厚生労働省「病院報告」(2008年)によれば、全国の病院(診療所、調剤薬局を除く)において約17万人が事務職員として働いている(常勤換算値、非常勤者の場合は1週間の勤務時間÷医療施設で定めている1週間の勤務時間により算出)。
病院の診察時間中に勤務し、診察が休みの土日などが休日となる。また、大きな病院では、救急患者の受入れに備えて夜勤をしたり、休日に交代で出勤して入院患者の事務手続きをすることもある。レセプトの提出日が決められているため、その時期は忙しくなり、残業することもある。
大きな病院では常勤の事務職となることが多いが、医院や診療所などではパートタイマーで働くことが多い。人材派遣会社から病院に派遣されたり、病院と直接契約してフリーで働くこともある。
コンピュータ化が進み、点数に換算して転記する作業は迅速化され、算定された点数に誤りがないか確認する作業にも重点がおかれている。
・参考情報
関連団体 日本医療事務協会 http://www.japanmc.jp
財団法人 日本医療保険事務協会 http://www.shaho.co.jp/iryojimu
財団法人 日本医療教育財団 http://www.jme.or.jp
関連資格 診療報酬請求事務能力認定試験 医療事務技能審査試験 医療保険請求事務者認定試験